オークス アパパネ

優駿牝馬(第71回オークス)(GI)

出走メンバー、枠順から見て浮上するいくつかのポイントを挙げなければならない。

おそらく人気上位であろう2頭が、なんとそろって大外枠を引いてしまった。
1番人気が予想されるアパパネが17番、上昇著しいサンテミリオンが18番枠となった。
多少なりとも行きたがるところがあるアパパネにとっては明らかにありがたくない枠だ。
サンテミリオンもある程度行くはず。
アパパネはこれまでに2度の外枠を克服してきたし、サンテミリオンも鞍上は信頼できる名手・横山典騎手ではあるが、今度はオークスの長丁場。
桜花賞のときはあれだけ「混戦」とされただけに、その力関係が変わらず推移したとすれば、この2頭は多少ハンディキャップを背負った形になる。

そして注目されるのが展開。
とにかく今年は高速馬場だかから、例年に比べ各ジョッキーとも多少なりとも早目の競馬をイメージしている。
そこに来て今年のオークスは、例年になく行くタイプの馬が多い。
期待したフラワーカップでは行けずに凡走、トライアルのスイトピーSでは行って好結果の4枠7番ニーマルオトメが先導濃厚。
そして、こちらもトライアルのフローラSを逃げ粘って2着したアグネスワルツも、2番枠を引いたここはスピードでは一枚上。
さらに、桜花賞ではまさかの逃げの手に打って出た安藤勝己騎手と3枠6番のオウケンサクラも、逃げないまでも先行策の可能性が大きい。

まだいる。
器用さがあってスピード上位の7枠エーシンリターンズ、忘れな草賞勝ちの5枠モーニングフェイス、この距離ではかかる可能性もあるシンメイフジなど、いくらなんでもハイペースまではさすがに考えられないが、それでもオークスとしては珍しく前半のペースは緩まない可能性は十分に考えられる。

先週までの高速馬場ではさすがに不利も、週末の天気予報は雨。
ここは追い込み型の馬を狙う。
桜花賞はにわかに出現した感のある超高速馬場で、追い込み切れない馬場であったが、そうした展開面の不利がありながら、展開利アリで勝ったアパパネとコンマ4秒差とそれほど負けなかった3枠5番のギンザボナンザから入る。

今年のオークスに大挙出走するゼンノロブロイ産駒は、今や「時の人」ならぬ「時の種牡馬」であるが、注目は母方のほう。
ギンザボナンザの母の父はトニービンで、とにかくトニービンの子の府中巧者は知られるところであり、しかも、この母の母アドラーブルは、かつてオークスを制した名牝だから、どちらかと言えば中山で好成績のギンザボナンザではあるが、この舞台で祖父、祖母の血が騒がないはずがない。
ローテーション的にも無理のないゆったりしたローテーションには好感が持てる。

桜花賞では馬体減が響いた同じくゼンノロブロイ産駒・最内枠のコスモネモシンは、調教後馬体重を大きく戻し、おそらく強かったフェアリーSのころの馬体重で臨めるはず。
もう一度石橋脩騎手とコスモネモシンのコンビに期待する。
前走432kgで出走した桜花賞。
そこから気温が上がったこの中間の馬体重が450kgだから、不自然と言えば不自然なので、「中間きっちり仕上がった」という前提で対抗とする。

桜花賞では人気薄で好走だったが、器用に立ち回れる自在性は長距離でこそ生かされるはずのエーシンリターンズが単穴。

桜花賞終了時点では、オークスで連を外す可能性が考えられなかったショウリュウムーンだが、さすがに今の府中は時計が速すぎるとみてこれは押さえまで。
ただし、多少でも渋ればこれが本命級だ。

馬体重が回復してこないのが悩みのタネであるが、この馬は細いくらいのほうがむしろ力が出せそうなプリンセスメモリーと勝浦騎手の大駆けも警戒する。
この馬は、確かに馬体細化に問題はあるが、調教後に大きく馬体を減らしたあと長距離輸送を敢行した桜花賞で、輸送減りはほとんど見られなかった(減る部分がなくなってしまった可能性もあるが・・・)。
ということは、精神的にはかなり安定しているはず。
であれば、オークスは間違いなく向く。
380kg台の小柄な牝馬が春のクラシックを2戦も戦うのだから、1票を投じたい。
頑張ってほしいという応援の意味も込めて押さえる。

良馬場になってしまうと時計面がどうかだが、折り合いはつきそうなモーニングフェイス、フローラSの内容を軽視する意味がないサンテミリオン、追い込み一手でも展開的に「まさか」もあるステラリードと三浦皇成騎手、ここまでとする。

アパパネはさすがに折り合いが心配だが、馬券を切る怖さは鞍上の蛯名騎手と、そしてなんといっても怖い国枝厩舎の手法だ。
桜花賞勝ちにこだわった「栗東留学」は評価できるが、それならば「水の質が落ちる」とされる美浦に戻ったのはむしろマイナスの可能性もある。
余裕のある人はもちろん押さえる必要アリだが・・・

◎ ギンザボナンザ
〇 コスモネモシン
▲ エーシンリターンズ
△ ショウリュウムーン
△ プリンセスメモリー
△ モーニングフェイス
△ サンテミリオン
△ ステラリード