レースのポイント

第72回菊花賞(GI)

さて、今週は菊花賞、言わずと知れた牡馬クラシック最終戦であり、三冠レースのラスト1冠を目指すレースである。
京都外回りの芝3000mで行われ、古くから「強い馬が勝つ」と言われて久しいレースであることはすでにご存知の通り。

先週の秋華賞は、どうしても、どうしてもホエールキャプチャに勝ってほしいという強い思いから、1週間まったく仕事が手につかない状態であったが、今週、今これを書いている月曜の夕方の時点では、非常に落ち着いた、静かな気持ちである。
結果はどうあれ、時間さえ来れば、とてつもない大きな仕事を抱えた人馬がゲートを出て、そしてゴールインすることになると、そんな気持ちである。
今年の菊花賞は特別な菊花賞であるが、いろいろあったこれまでの反省を込めたレースとなることも間違いない。
少し早い気もするが。

オルフェーヴルと池添謙一が、史上7頭目の三冠を目指して、京都淀の舞台に登場するのは、今から6日後である。
オルフェーヴルは、ステイゴールドの子であり、そしてあのメジロマックイーンの孫であることを考えると、前走のトライアルの圧勝からも三冠達成は非常に有力なものであると考えられる。

私はこれまでそう短いとは言えない時間競馬にかかわってきたわけだが、自分の応援する馬や、大好きだった馬の子や孫が三冠馬にチャレンジするという経験はない。
そんなことはきっとないのではないかと考えもしたが、「強い馬の意味」を教えてもらい、敬愛してやまなかったメジロマックーンの孫が、ついにとんでもなく大きな舞台に立つときがやってきた。
しかし、なぜかいつもの年の菊花賞よりも気持ちは落ち着いている。

なぜか――
自分でもよくわからないのだが、今年はダービー直後から異常なくらい早く菊花賞のことを気にしていたにもかかわらず、その理由はわからない。
でも、オルフェーヴルがゲートを出て、ゴールインするその瞬間に、その理由がはっきりするのではないかという気持ちでいる。

3000mは折り合いが大切だとか、馬場は内がいいとか、異常に時計が速いとか、坂の下りのペースがどうだとか、池添騎手のプレッシャーがどうとか、そんなことは一切関係ないという気持ちである。
これでは「レースポイント」としての価値はまったくないのかもしれないが・・・

もちろん本命馬は、オルフェーヴルではない。
ひそかに狙っている、抽選対象になっている馬が出走してくれればそれに越したことはない。
ただ、どんな出走馬であっても、どんな内容のレースであっても――近年とてもGIとは思えないような内容の菊花賞になってしまうことが多くなっているが、だとしても――ただこれから6日後にやってくる一瞬が、今はとてつもなく大きく、そして尊いものとして感じられる。

支離滅裂になってしまったが、みなさんもみなさんの菊花賞を、今年は大いに堪能できるように、そればかりは願わないではいられない。

第14回サウジアラビアロイヤルC富士S(GIII)

今年で14回目を迎える「サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス」であるが、長いレース名である。
名前は長いが、しかし距離はスピードを競うマイル戦であり、そのあたりはレースポイントとしてわざわざ挙げるまでもなく、競馬ファンのみなさんにはすでに定着していることだろう。

ただ、穴党のハシクレとしてこのレースについてどうしても書かなければならないのは、このレース、とにかく荒れるのだ。
もちろん競馬ファンのみなさんであればこれもすでに承知の上、富士Sにチャレンジしようと心を決めていると思うのだが、だとしても、とにかくよく荒れるレースである。
波乱の種類にもいろいろあるが、このレースは小波乱とか中波乱とか、そういった生半可な荒れ方ではない。
「大波乱」となる確率が非常に高いということが大きな特徴である。

このレース、大波乱を目指して毎年チャレンジしているが、もちろん的中した経験はない。
的中はないどころか、まったく考えもしなかった馬が急に浮上するレースこそ、この富士Sの恐ろしいところであり、しかし楽しいところである。
先日のスプリンターズSや先週の秋華賞など、すっかりニガテなレースとなって久しいが、このレースは同じ「的中できないレース」であっても、何か一発逆転の可能性を見出すことができそうで、非常に夢のあるレースである。

東京マイルの別定GIII戦ということで、一線級の馬は天皇賞やマイルチャンピオンシップがこの後控えているからもちろんここを使われることがなく、しかも、重賞では少し力が足りないという組がこぞって出走することになるから、タフな府中コースで行われる以上、どうしても波乱の可能性が高くなるのもうなずける。
というのは、そう、ゴール前の大逆転が十分可能なレースなのである。

難しいレースこそシンプルに考えるのが鉄則と言えば鉄則ではあるが、しかしこのレースに限っては、参加して、そして本気で的中を目指すのであれば、徹底的にひねりまくって馬券検討しなければならないという印象である。
個人的には「JRA重賞で最も荒れるレース」と考えているだけに、そのくらいの覚悟を決めて、そして、玉砕の覚悟も腹にしっかり決め手チャレンジしたい。

勝ったと思った馬がゴール前で逆転されるのは、つまり府中のマイル適性があると考えられながらも、もっと自信のない組が死んだフリを決め込んで追い込んでくるシーンだろうから、ちょっと深読みすれば、血統的に府中のマイルを乗り越えられ名そうなタイプも視野に入れて敢えて狙ってみるのはおもしろいかもしれない。
今年の秋の府中は、追い込みが決まりやすい馬場である。
ますますその可能性は高くなるのではないか。

ということで、穴党ファンは積極的にこのレースに参加すべきだろうし、本命党ファンも思い切ってここは穴狙いに徹するということもアリなのではないかと思う。
安田記念2着のストロングリターンあたりが人気になる組み合わせになりそうな今年の富士Sであるが、そうとう走りそうなストロングリターンでさえ、富士Sだからこそ、危険はその背後に忍び寄っているかもしれない。

第13回東京ハイジャンプ(J・GII)

今週は秋華賞ウィークということで、マイルCS南部杯の興奮も冷めやらぬなか、早くも若い牝馬の激戦に思いは及ぶわけだが、その前に、今週は土日とも2重賞ずつが行われるということで、大忙しである。
まずは、土曜の府中第9レースに組まれている東京ハイジャンプからレースのポイントに触れていこうと思う。

芝の3300mという長丁場、現在のところまだ登録馬が発表されていないため、具体的な出走馬は確認できていないが、以前とちがい、このところ頭数にも恵まれるようになった障害戦のGIIということで、かなり好メンバーになるのではないかと憶測できる。
希代の名ハードラーであった10歳牝馬・コウエイトライが先日ついに引退ということで、これに関してはお疲れさまでしたという気持ちばかりが大きく、今後のジャンプ界に大きな変化はないだろう。

しかし、このレースは暮れの中山大障害へ向けてという意味では、非常に重要なステップレースとなることは言うまでもない。
もともとこのレースは春に行われていたが、しかし歴代の勝ち馬を見ると、ゴーカイやカネトシガバナー、そして現在もまだ現役のスプリングゲントやメルシーエイタイムなど、すでにJ・GIを優勝している組も、このレースの勝ち馬となっている。

かつて秋には「東京オータムジャンプ」というジャンプのGIII戦が行われていただけに、このレースが秋に移行して今年でまだ3年目であるという気はあまりしない。
東京ハイジャンプは別定戦だから、距離的にも斤量的にもそれほど過酷なレースという印象はないが、しかしさすがに府中コースということで、タフな競馬をスタミナと根性に加え、飛越のセンスも求められるレースとなっている。

近走波乱の傾向があるジャンプ重賞であるが、このレースもまたその類に数えることができるだろう。
一昨年の勝ち馬テイエムトッパズレ(今年もおそらく出走してくるだろう)は、8番人気の人気薄での優勝、昨年のイコールパートナーにいたっては、14頭中実に12番人気での優勝であり、穴党としてはどうしてもそういう方向でこのレースをとらえたくなる。

ということで、それはもちろん出走メンバーにもよるが、ある程度の波乱の余地は視野に入れて馬券検討しなければならないレースであると言えるだろう。
そして、そういう馬券をぜひ的中させたいものである。

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