共同通信杯 クラシック

第45回共同通信杯(GIII・トキノミノル記念)

出世レースとされてからずいぶん長く注目されてきている共同通信杯であるが、「トキノミノル記念」というサブタイトルにどこか歴史を感じることができる、この時期のおなじみのレースである。
例年あまり頭数がそろわないという印象があるが、頭数の多少にかかわらず、配当的には比較的おとなしいレースであるという印象も同時にある。
それはそうだろう。
前の週に行われた西のきさらぎ賞ともども、この時期に行われる3歳の重賞だから、当然将来を嘱望される若駒がそれなりの成績を残すはずだし、これもきさらぎ賞同様、名馬とされる数多くの馬がこの共同通信杯をステップとして羽ばたいていったわけだから、そう簡単に人気馬がコロコロ負けてしまうことは考えられないレースである。

ただ、かつてこの共同通信杯こそクラシック候補生の最大のステップレースであったものの、しばらくはきさらぎ賞のほうがクラシックへの最大の登竜門とみなされる時期もあった。
しかし、昨年のダノンシャンティがここを2着して、その勢いでNHKマイルカップをあの驚愕のレコード勝ちという成長を遂げたことからも、当然今年もそうした名馬輩出の起爆剤的な作用をともなうレースであるという視点は必要かもしれない。
以前よりも路線整備が厳格化されたため、2歳戦で大きなタイトルを手にしている馬がこのレースを使われるケースがあまり多くなくなってきたが、昨年のダノンシャンティの登場でまた新たな名馬伝説への流れが作られるかもしれない。

ところで、このレースが波乱となった記憶はほとんどないが、一度、まだこのレースが「共同通信杯4歳ステークス」と呼ばれていたころ、道悪でヤマニンアクロという人気薄の逃げ馬が、キンショーテガラというもっと人気薄の馬をひきつれて大波乱を演出したことがあった。
まあこのときはただでさえ1頭を除けば混戦模様のところにきて、かなりの道悪が悪さをした感が強い波乱であったが、時期的にそうした危険性もはらむ時期だから、もし混戦に、そして道悪にでもなったら、そうした大穴馬券を狙ってみても悪くはないという気がする。

ただ、基本的にはこのレース、馬券を買うレースというよりは、今後の展望を見極める助けとすべき「見るレース」ではないかなと、個人的には考えている。
その意味では、大好きな「大波乱」もいいが、今年もこのレースから「これは!」と思えるようなスターダムが現れるというのもたまには悪くないかな、という気がしている。