東京新聞杯 きさらぎ賞

第61回東京新聞杯(GIII)/第51回きさらぎ賞

日曜メインは、東西ともに重要な意味をもつレースであった。
そして、レースも見ていて非常におもしろいレースになった。
まずは東の東京新聞杯から振り返ろう。

先手を奪ったのが例によってシルポートではあったが、ファイアーフロートに先に行かれてなかなかハナを奪えなかったのが少し誤算。
その分ラストがやや甘くなってしまい、6着どまり。
ただ、58kgを背負って、57kgで人気のダノンヨーヨーにいちおう先着しているということで、これは力を示したと言っていいだろう。
もっとラクにハナに行ければ、勝ち負けはともかく、掲示板の真ん中あたりには来られたかな、という印象。
ファイアーフロートは休み明けの府中でこのメンバーが相手では、やはり分が悪かった。

勝ったのは5番人気のスマイルジャック。
これで2008年のスプリングS、一昨年の関屋記念に続く重賞3勝目。
ダービーで2着があったから、昨年重賞勝ちにめぐまれなかったことが少し気がかりであったが、やはり府中は走る。
内のほうが伸びる馬場コンディションの外枠、スローペースを三浦騎手がうまくインコースの4~5番手で脚をためて直線はこの馬本来のキレ(上がり33秒9)で人気のゴールスキーを差し切り、猛追したキングストリートをハナ差押さえ込んだ。
これで無事ならまた安田記念(昨年3着)あたりで府中巧者ぶりを見せることができるチャンスをつかんだと言っていいだろう。

2着のキングストリートは惜しかった。
あと一歩と迫ったところがゴール。
上がりは勝ち馬を凌ぐ33秒8だから、勝ち馬との差は道中の位置取りの差であった。
昨年の中山記念では人気を背負いながら不良馬場に泣かされ、その後しばらくは低迷したが、昨夏の新潟で復活の手ごたえをつかみ、本来のキレが戻っていた。
ただ、安田記念となると、道悪の可能性もあるし、ペースはもっとずっと厳しくなるから、現状ではまだ力及ばずといった印象も正直ある。
さらなるパワーアップに期待したい。

人気のダノンヨーヨーは道中最後方からメンバー最速の上がり33秒2で追い込んだが、あのペース、位置取りでは届かない。
ということは、当然安田記念を視野に入れることになると思うが、もう少し脚質に自在性が欲しいところ。
ゴールスキーは、あまりにもペースが落ち着きすぎてしまい、上がりの瞬発力勝負になってしまったのが痛かった。
こちらももう少しパワーアップが必須だろう。

そして復活を賭けたショウワモダンはブービー負け。
ただ、状態が昨年秋とはガラリ一変していたという情報もあるし、今回は条件が悪すぎた。
再出発へ向けて次が試金石かな、という気がする。
がんばれ!


一方西のきさらぎ賞。
こちらも非常におもしろいレースになった。
こちらは柴原騎手のリキサンマックスが大逃げの展開になったが、実は道中はひとつも速くないスローに近い平均ペース。
このペースにいち早く気づいたデムーロ騎手がロングスパートを敢行し、それに応えたトーセンラーが強烈な切れ味で逃げるリキサンマックスを豪快に差し切る競馬となった。
ディープインパクト産駒の中では比較的地味な存在であったトーセンラーだが、競馬の内容はド派手で、数多くいるディープインパクト産駒の中でも、実は一番父に近いのではないかという内容で、スローだから時計は平凡も、秀逸な内容であった。
たまたま小柄な男馬というところも父譲りなのかもしれないが、これは先が楽しみになった。

逃げた2着のリキサンマックスは柴原騎手の好騎乗であった。
まったく迷うところなく先手を奪い、一瞬セーフティーリードかとも思われるような粘り腰であったが、キングヘイロー×テンビーという血統からうかがうことのできるスピードは見せた。
クラシックで通用するか否かは難しいところがあるが、マイル前後のレースではまた期待できるのではないだろうか。

3着オルフェーヴルは、上がり33秒2の切れ味で追い込んだが、この展開ではもう1頭の人気・ウインバリアシオンをかわすのが精一杯。
勝ち馬が上がっていくところでついていきたかったが、この馬の場合それができない気性だから、直線に賭けるしか策が講じられないのが現状。
道中も、やはり行きたがるというところまで行っていないまでも、ハミを強く噛んでいた印象で、そのあたりが解消されれば楽しみではある。
ただ、もし乗ることができれば、これは皐月賞限定でおもしろい存在かもしれない。

ウインバリアシオンはまた4着と、2戦続けて馬券に絡むことができなかった。
ただ、これも先々は走ってくるはずだが、現状では力不足を露呈した。
おそらくトライアルかどこかで使われることになると思うが、過剰人気するようなら危険の可能性もある。
期待したメイショウナルトは、キレる足がない分先に行く戦法であったが、1800mでも距離が足りない印象があり、この先2200m以上のレースでこそという内容であったと思う。
次にどこで使われるのか、それ次第で注目度も変わらざるを得ない。