CBC賞 シーイズトウショウ

B級名馬列伝#46~シーイズトウショウ(第39回、42回CBC賞)

速い馬だったなぁ・・・
速い馬はこれまでいくらだって登場してきたから、これだけではわからないだろうけれど、どの馬だと思いますか?
本来であればクイズ形式にしたいところであるが、どうせ答えはタイトル部分を見てしまえばわかってしまうから、明かしてしまおう。
もちろんシーイズトウショウのことだ。今週、今年は日曜阪神のメインレースとして行われるCBC賞の勝ち馬である。
単なる勝ち馬というだけではなく、この馬はこのレースを2度にわたって優勝しているからすごい。
単なる「速い馬」ではない、なにしろCBC賞を2回も優勝していて、しかも2回目のときは力の要る馬場で圧勝を飾ったのだから。

シーイズトウショウ・・・
馬券的には散々ひどい目に遭わされた馬だったから、お世辞に「好きなタイプ」とは言えないが、とにかくインパクトだけは、脳味噌の裏からいくらひっぺがそうとしても簡単にはひっぺがらないくらいシツコクこびりついている記憶があるくらいすごいものがあった。
先日死亡したサクラバクシンオーの娘であったシーイズトウショウ、サクラバクシンオー産駒の牝馬というと、私は真っ先に「悲劇」に散ったカノヤザクラを思い出してしまうのだが、このシーイズトウショウは、カノヤザクラよりもずっとサクラバクシンオーに似ていたという気がする。

ただ、カノヤザクラと同じく、牝馬ながらに使い減りしないパワフルな馬体がなんともこの馬は頼もしかった。
いかにもスプリンターという感じでありながら、牝馬らしい丸みのある馬体で、いつ見てもよく見せる馬体の持ち主であった。
これもカノヤザクラと一緒である。

いかにも仕上がりが早そうなバクシンオー産駒であったが、デビューから連戦連勝を重ねたという感じでもなかったシーイズトウショウ、デビュー戦は2着と敗れる。デビュー2戦目でしっかりと勝ちあがるものの、2勝目をあげるのにずいぶんと時間がかかったものだ。
しかしこれは、シーイズトウショウがクラシック戦線を戦ったからである。
距離がいかにも長すぎたのだ。
しかし、三冠牝馬スティルインラヴには敗れたものの、桜花賞の2着は値千金の好走であった。
今にして思えば、惨敗したオークスは走らせなくてもよかったのではないかという気がしてならない。

そして、待望の2勝目となったのが、早くも重賞初勝利となった、第39回のCBC賞であった。
当時は冬の中京競馬場で行われていたGIIのCBC賞であった。
中団からの差し切り、父を彷彿とさせるような、見事な末脚であった。
しかし、意外なことにここからまた3勝目までが時間を要することになるのだ。
その3勝目は、4走後の適鞍、函館スプリントステークスであった。
これを重賞2勝目をあげる。
しかし、その後1年勝ちから遠ざかったものの、久々の4勝目となったテレビ愛知オープンは、1分6秒7のレコード勝ちを収めるスピードをいよいよ見せ始めるのであった。

それにしても、勝つたびにただでは勝たないシーイズトウショウであった。
敗れながら、次はどんな勝ち方を決めてやろうかと作戦を練っているかのような、そんな不思議な印象があった。
そして、やはり中京コースは本当にこの馬の得意の舞台であった。
しかし、次走の函館SSは見事な連勝であった。
洋芝のタフなコンディションであったが、シーイズトウショウにとってはプラスばかりが目立った。
素晴らしい連覇達成である。

このあたりから堅実身が顕著になってきたシーイズトウショウであったが、しかしGIの舞台ではあと一歩が届かないもどかしい面も持ち合わせていた。
そして、堅実であるということは、「勝てない」ことの裏返しでもあり、シーイズトウショウにとって、だいぶツライ時期であったのも間違いないと思う。

しかし、5勝目となったのが、やはり中京のCBC賞であった。
このときはすでにこの時期に移行されて行われたCBC賞であり、GIIIのハンデ戦として行われる現在の形のCBC賞であった。
メンバーも条件も時期もまったく違うCBC賞であったが、しかし中京で行われるスプリント戦で、シーイズトウショウは強さを取り戻した。
函館の洋芝で快勝したように、稍重の中京もシーイズトウショウにとっては大きなプラスとなった。
これで重賞4勝目。
素晴らしい牝馬だと、このときつくづく思った。

しかし、シーイズトウショウの素晴らしさはこれにとどまることはなかった。
函館SS、キーンランドカップと得意の洋芝で堅実に2着を続け、そして迎えたGIIのセントウルステークス、このときは中京のスプリント戦、しかも稍重の馬場で行われたから、シーイズトウショウが負けるはずはなかった。
強い競馬で重賞5勝目を飾ったのである。
このときすでに5歳。
スプリンターズステークスを8着、香港スプリントを10着、6歳になって高松宮記念を8着と3戦し引退、無事繁殖入りを果たした。
現在繁殖牝馬として活躍しているというが、トウショウ牧場では早くもボスのような存在であるというから、いやはや恐れ入る牝馬である。

シーイズトウショウ(牝11歳)・・・父・サクラバクシンオー、母・ジェーントウショウ、その父・トウショウフリート
主な勝ち鞍・成績・・・CBC賞(2回、GII、GIII)、セントウルS(GII)、函館SS(2回、GIII)、桜花賞(GI)2着