B級名馬列伝#59~トーセンクラウン(第84回中山記念)
昨日も書いたが、今週の日曜メインで行われる中山記念、バラエティーに富んだタイプの勝ち馬を輩出してきた。
芝の1800mということで、サクラチトセオーのようなマイラータイプも勝ち、サクラローレルのようなステイヤータイプも勝ち、さらには昨日のトウカイポイントのような「ステイヤー血統のマイラー」もこのレースを勝つくらい、本当に毎年傾向らしい傾向が明確に現れないレースである。
まあひと言で表現すれば、近年の中山記念の勝ち馬はどれも「個性派」ぞろいであったということになる。
もちろん、どの馬にも「個性派」では片づけることができないくらいのあふれる個性があったわけだが、今日は、血統背景で言えば、サクラローレル同様ステイヤータイプであり、キャラクターで言えば、あのフジヤマケンザンのようなシブさがあった思い出の名馬のお話である。
私にとって忘れることのできない、トーセンクラウンだ。
トーセンクラウンはオペラハウス産駒ということで、冬場の寒い時期に好成績を挙げ、雨が降れば降るほど、馬場が悪ければ悪いほど走るという、「個性派」でありながらも、「オペラハウスの子」という見方ではその典型例のような馬であった。
そして、多くの産駒に該当するように、トーセンクラウンもまた晩成タイプであり、私は翌年(昨年)の天皇賞・春でもこの馬を本命にしたという記憶がある。
一昨年の中山記念、思えばあのときは本当に会心のヒットであった。
対抗に推したトーセンクラウンと、単穴に推したテイエムアンコール、そして大雨の不良馬場ということで当然押さえたショウワモダンのワン・ツー・スリーが見事に決まり、大きな万馬券を獲らせてもらった。
あれはうれしかったなぁ・・・
何しろ、後のGI馬であり、しかも道悪競馬が恐ろしくうまかったショウワモダンを5馬身以上もひきちぎり、2着も同じオペラハウス産駒のテイエムアンコールを連れて来てくれたのだから、これは本当に楽しいレースであった。
多くのファンが、特に馬券の面ではひとつもおもしろくないだろうと考えると、余計に楽しくなるから不思議である(ごめんなさいねぇ、性格悪くて・・・)。
あの中山勝利、もちろん道悪だからというのは大きいが、これは「圧勝」の「圧」の部分だけであり、それを証拠として、2着テイエムアンコールは、続く産経大阪杯でドリームジャーニーを破ってGII勝ちを収めたわけだし、そして3着のショウワモダンに至っては、なんと安田記念を勝ってしまったのだから、これはまさに「力」の証明の根拠となる大波乱であったと私は考えている。
当時16頭立てで13番人気のトーセンクラウン、2着も12番人気のテイエムアンコール、3着ショウワモダンは道悪馬場ということで5番人気であったが、この組み合わせで50万そこそこの配当はないだろうと一瞬思ったが、しかしそれもすぐに打ち消し、とにかくトーセンクラウンをはじめとしてこれら3頭に心ゆくまで感謝したものである。
ただ、私がこの馬の力を本当に信用しようとしたのは、続く日経賞の3着のときであった。
あのときはロジユニヴァースが久々の出走ということで話題を呼び、とにかく馬場はインコースしか伸びない非常に不公平な馬場であった。
ところがトーセンクラウン、ゴール前の大混戦を、ただ一人だけ大外を伸びて差のない3着に突っ込んできた脚を見て、ああ、トーセンクラウンは天皇賞を勝ってしまうかもしれない・・・などと考えたりもした。
その年の天皇賞・春は、私にとってはホクトスルタンの父子4代天皇賞制覇の期待に胸を膨らませていたが、そのホクトスルタンが、なんと締め切り直前ではじき出される憂き目に遭ってしまい、私の腸は煮えくりかえっていた。
であれば、割り込んできたミッキーペトラに勝ってもらうしか納得できない(ミッキーペトラが悪いわけではない、いや、誰も悪くはないということは理解していたけれど、どうしても納得できなかったのだ)という思いで、実はミッキーペトラを本命にしていた。
ただ、このとき実はもっと注目していたのが、メイショウベルーガの天皇賞制覇の夢であった。
逃げるホクトスルタンと追い込むメイショウベルーガで馬券が決まったら、私はたぶん喜びのあまり気絶していたに違いない。
まあ、そんな心配はミッキーペトラが払拭してくれたわけだが。
そんな、本当に楽しい天皇賞であった。
で、トーセンクラウン、心のどこかで「この馬に勝たれてしまうかもしれない」と思いながら私はあの思い出の天皇賞を観戦していた。
もちろんけっこうたくさんトーセンクラウンからの馬券も買っていた。
しかし、である・・・
勝負どころでメイショウベルーガの真白い馬体が大外に「ピョーン!」という感じではじき出されるのを目の当たりにし、ベルーガを見ていたからという理由ではなく、目の前が真っ白になった。
そして、その加害馬がなんとトーセンクラウンであると知って、競馬の悲しさ、切なさ、難しさ、不思議さ、むなしさ、非情さ、驚き、嘆き・・・などなど、言葉で簡単に説明できない不思議な気持ちに包まれたことを、未だハッキリと覚えている。
その悔しさを託した翌年の天皇賞で、私はトーセンクラウンを本命にし、残念ながらクラウンはあのレースで大けがを負い、引退に追い込まれてしまった・・・
ただ、幸い命には別状なく、「トーセン」の島川オーナーがそのまま引き取るという、本当にうれしい知らせを耳にし、私はオーナーにも心ゆくまで感謝した。
現在8歳、きっと元気にしていてくれると思う。
トーセンクラウン(牡8)・・・父・オペラハウス、母・サンデーブレーヴ、その父・ダンシングブレーヴ
主な成績・勝ち鞍・・・中山記念(GⅡ)
